愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
「どうかしたんですか?」

「オルガとクロウが来てるよ!」

ハルさんがそう言って、小さく後ろを指差した。



「あっ!?」

扉の傍に、オルガさんとクロウさんがいた。
その周りには、多分、シュバルツのファンと思しき女の子が数人いて、嬉しそうに何かを話してた。



「アンコールが終わったら、私達も話しに行こうね。
璃愛、オルガと一緒に写真撮るチャンスだよ!」

「え…あ…あぁ…そうですね。」

ハルさん達は、いまだ私がオルガさんのファンだと思ってる。
ま、確かにファンといえばファンかもしれないけど…
以前、会った時はこんな格好じゃなかったから、私のこと、わからないかなぁ?
わからなかったら良いんだけど…
私がライブに行ってるってことはママが暴露してしまったけど、こんなに変装(?)してるところを見られるのはやっぱり恥ずかしいもん…



「あっ!」

急に客電が落ちて、激しいギターソロが始まった。
それと同時に、ステージ上にはキースさんの姿がスポットライトで照らし出された。
MCでは面白いことばかり言うキースさんだけど、ギターを弾いてる姿はめちゃめちゃシリアスで格好良い。
キースさんの細くて長い指が、ギターの上をまるで生き物のようになめらかに駆け巡る。



「アンコール、ありがとな!」

ギターソロが済むと、リクさんの声が響き渡った。
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