愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
今の状況をしっかり確認したら、心臓がどくどくと異常な程に高鳴った。



(ど、どうしよう!?
私…こんな格好なのに…
キースさんと一緒にラーメン食べるなんて、そ、そんな…)



緊張しすぎて、膝までがくがくして来た。



「お待たせ~…」

キースさんは両手にお冷やを持って、何事もなかったかのように戻って来ると、そのまま私の向かいに腰を降ろした。



「それにしても、いつもとはずいぶん違うもんやな。」

キースさんが私の顔をみつめてそんなことを言うから、恥ずかしくて顔から火を噴きそうだった。
でも、もうこうなったら逃げられない。
私には苦笑いを浮かべながら俯くしかなかった。



「ヅラちゃん、地毛は染めてへんねんなぁ。
綺麗な黒髪やな。つやつややん。」

「は、はい。ははは……」

恥ずかしいやら緊張するやら…もう何がなんだかわからない。



「お化粧してへんかったら、えらいおぼこい感じになるんやな。
そういえば、ヅラちゃん、いくつなん?」

「に、に、に、21です。」

私が答えると、キースさんはくすくすと笑い始めた。



「もしかして、緊張してる?」

「え?は、はい。」

「もう、いややわ。
僕ごときにそんな緊張せんとって。
ヅラちゃん、ゆでだこみたいになってんで~」



(ゆ、ゆでだこ!?)



キースさんはまだくすくすと笑ってる。
もうっ!もうっ!もうーーーっ!
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