愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
「ほんま?なんやヅラちゃんとは気が合いそうで嬉しいわぁ。
僕らはシュバルツのメンバーさんとはちごて、貧乏やからなぁ…
あ、そうゆうたら、こないだのクロウさんの車、ごっつかったな。」

「そ、そうなんですか?」

「そうなんですかて…ヅラちゃん、載せてもうたやろ?
あ…そうか、あの時は爆睡しとったんやったな。」

恥ずかしい記憶が思いおこされて、また顔が火照って来る。



「ジャガーやで、ジャガー。なんぼするか知ってる?
しかも、あのすっごい鮮やかなブルーはわざわざ塗装してもうらたしいで。
車の中も、クロウさん仕様らしいな。」

「そ、そうなんですか。」

確かに載せてもらったけど、車の中がどんなだったかなんて全く覚えてない。
っていうか、どんな車かも知らないよ。



「瑠威さんもどっかの社長のボンボンらしいし、シュバルツはみんなお金持ちらしいな。
CLOWNとはえらい違いやわ。」

「そ、そうなんですか…」

「あれ?ヅラちゃん…シュバルツのファンなんやろ?」

「え、ええ…でも、私、ファン歴まだ浅いし、そういうことはあんまり知らないので…」

「へぇ、そうなんや…あ…ごめん。
なんや、長い事引き留めてしもたな。
早よ帰らなあかんかったんとちゃうの?」

「え…あ…」

ふと柱の時計を見たら、思ってたよりも時間が経っていた。



「あ、こ、こちらこそ、長い間どうもありがとうございました。」

「ほな、そろそろ帰ろか。」

そう言いながら、キースさんは慣れた様子でどんぶりをトレイに載せた。



「あ、私が返して来ます。」

「ええよ。僕が行って来るから、ヅラちゃんは荷物見とって。」

あ~あ…今日はなにからなにまでキースさんのお世話になっちゃった。
でも…キースさんって本当に良く気が利くっていうか、優しいし恩着せがましくないし…なんていうか、こんな人と結婚したら幸せだろうなぁって…



(け、結婚…?)



な、何、考えてるの!?私…
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