愛しのカレはV(ヴィジュアル)系




『結局、今日は返信なかったね。』

『うん、そうだね。』

お風呂あがって、部屋に戻ったら…
届いてたのはやはりさゆみからだけだった。
今日はもうキースさんのことは考えたくなかったけど、そうはいかなかった。
でも、さゆみも心配してくれてるんだから、文句は言えない。



『返事が来たらまた教えてね。じゃあ、おやすみ。』

『うん、わかった。おやすみ。』



私はもう半分以上諦めてるよ。
だって、昼過ぎから夜中までのバイトなんて、そうそうないよね。



(きっと、キースさん、気分をこわしちゃったんだ…)



あの時…ちょっと移動するから、待ってて下さいね…とか、ほんの一言送ってたら、きっと、こんなことにはならなかったのに…



今更そんなことを考えたってもう遅い。
ちょっと悲しいけど…
ほんの少しだけでも、楽しい思い出が出来たことを喜ばなくちゃ…だよね。
無理矢理そんなポジティブなことを考えてみる。
本心は違うんだけど…



そういえば、CLOWNのライブは行っても大丈夫なのかな?
もしかしたら、キースさんに嫌な顔されちゃうかな?



行けなくなったら寂しいな…
せっかくファンになったバンドなのに…



でも、自分のしでかしたことだもん。
仕方ないよね…
とりとめもなくそんなことを考えているうちに、私はいつの間にか眠ってしまってた。
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