愛しのカレはV(ヴィジュアル)系




「良かったじゃん!」

キースさんからLINEが来たことを話したら、さゆみはとっても喜んでくれた。



「う、うん、まぁね…」

「なによ、あんたも嬉しいんでしょ?」

さゆみがにやにやしながら私を肘で小突く。



「え…そ、そりゃあ…まぁ…ね。」

「良いなぁ…もう、この先のことは決定だよね。」

「……決定って…どういうこと?」

「もう~っ!何言ってんの?
あんたはキースさんに気に入られたわけだよ。
だから、そのうち告られるよ。
そしたら、あんたはキースさんの彼女だよ!」

「ば、馬鹿なこと言わないで!
そんなこと、あるわけないじゃない。
キースさんにはファンもいっぱいいるし、私なんか、そんな…」

必死で否定する間にも顔が火を噴きそうに熱くなるのを感じた。



「そりゃあ、正直言ってあんたは飛び切りの美人ってわけじゃないけど、十分可愛いと思うよ。
それに、あんたのちょっと天然なところって、男の人から見たらきっと守ってあげたくなるんじゃないかな?」

「え?私、天然なの?」

「そうだよ…あんた、気付いてなかったの?
そういうところが天然だって言うんだよ。
そうかと思うと、家事とかきちんと出来るし…そういうギャップも魅力なんじゃない?」

「家事のことなんて、キースさん知らないってば!」

「あ、そっか。
でも、さ、気に入られてるのは事実だから。」

さゆみの言葉にドキドキしてしまう。
そんなわけないって思うのに、だけど、万一本当にそんなことになったら…



「……大丈夫?あんた顔が真っ赤っかだよ。」

「さ、さゆみがおかしなこと言うから…」

「もうっ、あんたったら純情なんだから!」

「純情って…いつの言葉よ。さゆみ、古いってば!」

さゆみのおかげで何となく笑いに繋がったけど…
でも、まだドキドキしてる…



(キースさんと付き合うなんて…
そんなこと、ないない!ありえないって!)



調子に乗ってしまいそうな自分自身に、心の中で言い聞かせた。
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