愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
「アンコール!」
「アンコール!」



熱のこもったアンコールの声が大きく広がる…
私も、手を叩きながら同じようにコールした。
今日はワンマンだし、1回だけってことはないだろうから、きっと出てきてくれるだろうとは思うけど…



「アンコールありがとう!」

客電が落ちて、リクさんの声と同時にメンバーがステージに現れた。
客席からは女の子の甲高い歓声がわきあがる。



「えー…突然ですが、お知らせがあります。」

にこやかな顔で、キースさんがマイクの前に立つ。



「ここ、メタル・デポさんのご厚意により、この後、ファンの皆さんと僕らの打ち上げを行いま~す。」

場内はざわめき、また大きな歓声が響いた。



「だけど…僕達、まだ売れっ子ちゃうから、会費制やけどごめんやで。
2ドリンクとフリーフードで2000円。安い、安い!」

「消費税は?」

「消費税?」

客席から飛び出た質問に、キースさんは困ったような顔でステージ脇を見た。



「消費税込みらしいです。良かったなぁ…
とにかく、時間ある人、2000円持ってる人はぜひ残ってな!ツケは無理やで~」

ファンの子達は瞳を輝かせながら、拳を振り上げて応える。



私もちょっとドキドキしてる。
打ち上げって、どんなことをするんだろう?
メンバーとしゃべったり、写真を撮ったり出来るのかな?
でも、恥ずかしい…さっき、あんなことがあったばかりだし…
そうでなくても、話すなんて恥ずかしい。
何を話せば良いのかもわからないし…元々、話上手なタイプでもないし。
でもでも、行ってみたい気はする。
さゆみ達はどうするんだろう?

打ち上げのことが気になりすぎて、二回目のアンコールはよくわからないうちに終わってた。
< 15 / 366 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop