愛しのカレはV(ヴィジュアル)系




「えーーーーーっっ!」

さゆみのバカでかい声に、私は思わずスマホを耳から離した。



キースさんからのLINEのおかげで盛り上がりすぎて、ケーキを食べる間は気もそぞろ…
美味しいはずのケーキの味もよくわからないほどだった。
遅い時間だったけど、部屋に戻ると私はすぐにさゆみに電話をかけた。



「さゆみ…落ち着いてよ…」

「こ、これが落ち着いていられますかって!
だ、だって、キースさんとハイキングだよ!
ライブ以外でキースさんと遊びに行くんだよ!」

「そうだよ。」

「で、でも…良いの?
私なんかが着いてったらお邪魔虫にならない?」

「そんなことないよ。
キースさんと二人っきりよりも、さゆみがいてくれた方が心強いし。
それに、キースさんの方から言ったんだよ。
いつもの友達、連れておいでって…」

正確に言うとちょっとだけ違うけど…そう言った方が、さゆみも来る気になってくれるかなって思ってそう言った。



「えっ!?キースさんが私を連れておいでって…?」

「うん、そうだよ。」

「じゃあ、行かなきゃ悪いよね!
…そっか、キースさん、私のこと覚えててくれたんだ。」

良かった…これでさゆみも来てくれる。
キースさんはいろいろと気を遣ってくれるし、一緒にいて楽しいけど…
ハイキングともなれば長時間だし、私は口下手で面白いことのひとつも言えないから、やっぱり二人っきりよりも誰かいてくれた方が助かる。
それが、親友のさゆみだったら、気心も知れてるし、一番信頼出来るもん。
< 153 / 366 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop