愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
バスはほどほどに混んでいて、私達は一番後ろの席に並んで座った。
リクさん、キースさん、私、さゆみの順番で…
キースさんの隣ってことだけで、かなり緊張してしまう。



「さっきの話だけど…」

「あぁ、せやったな。
いくらなんでも、会うてすぐに連絡先教えてっていうのもなんやろ?
せやから、僕、LINEのIDのヒントをゆうたんや。」

「ヒント?」

「うん、『クラウン、ギタリスト、天使』ってな。」

「ヒントっていうか…そのまんまじゃね?」

「でも、僕はこれがLINEのIDともゆうてへんし、この三つの言葉をゆうただけやで。」

「簡単過ぎるだろ。」

「そんなことないです!」

私は思わず声を発していた。



「……私、馬鹿だから…かなり悩みました。」

「ヅラちゃんは馬鹿ちゃうで。
あのヒントから、僕のIDをすぐにみつけたんやから。」

「そんな…すぐじゃないですよ。」

キースさんって、本当にどんな時にも優しいな。



「で、とにかく、それで、ハイキングに誘ったんだ。」

「まぁ、そういうこと。
確かに、知り合って間もないし…チャラいてゆーたらチャラいんかもしれへんなぁ。」

「そ、そんなことないです!
キースさんはチャラくなんかありません!」

「ヅラちゃんは優しいなぁ…」

言葉だけじゃなく、キースさんに至近距離でみつめられて、恥ずかしさに私は思わず俯いてしまった。
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