愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
バスは15分程で目的地に着いた。
乗ってた人は、ほぼみんなこの場所への乗客だったみたいだ。



「さ、ここから登るで。
一時間くらいの初心者向けハイキングコースやから大丈夫やとは思うけど、慌てんでええからな。
ゆっくり行こな。」

「はい!」

小さな子供連れの家族や高齢の方もたくさんいる。
キースさんの言った通り、きっと、初心者向けのコースなんだろう。



あたりには緑がいっぱいで、本当に気持ちが良い。
うちから一時間程の所に、こんな自然が残ってたなんてちょっとびっくりだ。
空気の味まで違って思える。
そういえば、こういう所に来たのは、いつぶりだろう?
もしかしたら、中学の遠足以来かな?



リクさんは意外と無口だった。
みんなの話に相槌を打つくらいしかしゃべらない。
さゆみも何度かリクさんに話しかけようとしたけど、リクさんがあまりに素っ気ないせいか、そのうち話しかけなくなって…
私はさゆみやキースさんと他愛ない話を交わしながら、山道を登って行った。
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