愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
「ヅラちゃんはハイキングはほとんどしたことないらしいし、きっと疲れてたんやろ。」

あぁ、キースさんはやっぱり優しい…
そうだよ、今日、私は5時起きしてお弁当作ったんだから…



「キース…疲れたのは俺の方だって。
見た目以上に重いんだぜ。」

「リクさん!失礼ですよ!」

さゆみが目を三角にして怒ってくれて…
リクさんは小さく肩をすくめた。



本当に失礼な人なんだから…!
一瞬でも優しいなんて思ったことが悔しいよ。



「とにかく、早くお弁当にしよ。
あ、あそこの木陰なんかどうやろ?」

私達は、キースさんの指差した場所に移動した。



「ちょっと待ってや~」

キースさんは、その場所にブルーシートを広げた。
そして靴を脱ぐと、「どうぞ、おあがりやす。」と、おどけた。



キースさんの隣にリクさん。
キースさんの向かいに私が座って、その隣にさゆみが座った。
向かい合うと、なんだか、かなり照れくさい。



「あ、あの…キースさん…これ……」

私はおずおずとお弁当を差し出した。
キースさん…気に入ってくれるかな?



「わぁ!やった~!!
ヅラちゃん、どうもありがとう!」



キースさんは子供みたいな無邪気な笑顔でそう言って、お弁当を受け取ってくれた。

< 164 / 366 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop