愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
ふと見ると、リクさんのお弁当…けっこう綺麗。
彩だけじゃなく、栄養価のことも考えて作ってあるそのお弁当に、私はしばし見とれてしまった。



「……なんだよ。」

「えっ?」

「俺の弁当、なにかおかしいか?」

「そ、そうじゃなくて…」

リクさんってなんでそういつも喧嘩腰なんだろう?



「ヅラちゃん、こいつ、意外と器用なんやで。
弁当も自分で作りよんねん。」

「どうだっていいだろ、そんなこと…」

リクさんはそう言って、お弁当を隠すみたいに後ろを向いた。
なんだか子供みたい。
でも…確かにすごいよね。
あんなに上手にお弁当が作れるなんて…味も美味しそうだよね。



拗ねたリクさんは無視して、三人で和気あいあいとお弁当を食べて…
その後は、みんなで景色を眺めたり、お土産を見たり、ソフトクリームを食べたり…
久しぶりにのんびりした時間を楽しんだ。



「あ、そうだ。
俺たちとハイキングに行ったこと、ファンの子には言うなよ。」

「わかってます。
誰にも言いません。ね?」

さゆみに言われて、私は深く頷いた。
もちろん、そんなこと、リクさんに言われなくても誰にも話すつもりなんてなかったけど…
リクさんに言われると、なんかちょっと嫌な感じ。
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