愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
「誰に何された?」

リクさんは私から顔を逸らし、さゆみに向かって問い詰めた。



「名前まではわかりませんが、顔は覚えてます。
後ろからバッグで殴ったり、背中突いて転したり…」

「あ、あの…そ、そんなたいしたことじゃないんです。」

「たいしたことないって、あんた、膝に怪我したじゃない。」

「怪我ったって、ちょっとすりむいただけだし、私が運動神経悪いから転んだだけだし…」

リクさんは、なんだかとっても怖い顔をして私を見つめてた。



「……俺がCDやったからか?」

「多分、そうだと思います。
あと、ヅラ子って呼んだことでしょうか。」

「そんなことでも気にするんだな。」

「しかも、クロウさんに送ってもらっちゃったから、シュバルツのファンにも目を付けられて…」

「だよな。
だから、あの時、俺は反対したんだけどな。
って、今更そんなこと言ってもどうにもならないけど…
ヅラ子…すまなかった。
俺のせいで、迷惑かけたな。」

「えっ…!?」

一瞬、よくわからなかった。
なんで、リクさんが…
あ、そっか…CDをくれたり、私のことをヅラ子って呼んだから…
でも、そんなの、リクさんのせいじゃない。



「あ、そ、そんなこと…違います!
悪いのは私なんです。
謝らないで下さい!」

「俺がうかつだった。
あの時は初めてのワンマンで浮かれてたから。」

「違います!本当にリクさんは悪くありません。」

「ごめんなぁ、ヅラちゃん…
ファンの子のいざこざの話はたまに聞くけど、まさかほんまにそんなことがあるなんて、僕、知らんかったわ。」

「とにかく、今度何かされたらすぐに俺に話せよ。」



きゅん…!



なんだろう、今のリクさんの言葉…
なんだかすっごく頼もしいっていうか…心臓がドキドキ飛び跳ねちゃった…


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