愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
「あぁ、お腹ぱんぱんや。ちょっと食べすぎたかな。」

「大丈夫ですよ。今日はずいぶん運動してますから。」

「自分らのおかげで今日はほんま楽しかったわ。
また行こな。いつの間にかええ時間になったな。
あんまり遅なってもあれやし…じゃあ、そろそろ行こか…」

キースさんは立ち上がり様に、レシートを取った。



「あ、キースさん…私が払います。
今日はお二人にすごく迷惑かけちゃったし、その…お礼にもなりませんが…」

私がそう言うと、キースさんはやわらかな笑顔を浮かべた。



「ヅラちゃん、僕ら、男やで。
ちょっとは見栄張らさせて~な。」

「で、でも、私…すごく迷惑を…」

「ヅラ子…俺たちが何でハイキングなんかやってるのかわかってるのか?」

「……え?」

「俺たち、ヴィジュアル系は常に格好良くないといけない。
それに、ライブはおまえらが思ってるより、ずっと体力使うんだ。
つまりは、ハイキングっていう名のトレーニングだな。
今日はおまえのおかげでいつもよりトレーニングが出来た。
感謝してるぜ!」

「で、でも……」

「まぁ、そういうこっちゃ。
僕らは確かに貧乏やけど、ファミレスの食事くらいはどうもないんやで。
ヅラちゃんにはお弁当作ってもうたし、さゆみちゃんにもサンドイッチもろたし、このくらいのこと、気にせんとって。」

結局、私たちの食事代は二人におごってもらうことになった。
なんだかすっごく申し訳ないけど…私が払うって、意地を張るのもおかしいし…


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