愛しのカレはV(ヴィジュアル)系




「ここなんだ。散らかってるから恥ずかしいけど…とにかく、入って。」



数日後、私は藤堂さんの暮らすマンションに連れて行ってもらった。
仕事場から10分もかからないところにある、上品な感じのマンションの7階だ。



「ここがリビング…そして、こっちが僕の部屋…って、ここには僕しか住んでないから、全部僕の部屋だけど…
で、ここが、物置っていうかなんだかわけわからなくなっちゃった部屋で…こっちが寝室。」

一人なのに広いところに住んでるんだなぁ…
ここなら、家族で住めるよ。
寝室もやけに広い。
それにしても、物置部屋は本当にすごいことになっている。
足の踏み場がないっていうか、ドアを開けてもそこから先に進めない。



「物置はあのままでいいからね。」

「どうしてですか?」

「だって、あんなになってるんだよ。
片付けるのなんて無理でしょ?」

「そんなことないです。いっぺんには無理ですが、少しずつ片付けます。」

「そう…?無理しないでね。」

あんなのを見てしまったら、とてもじゃないけど放置なんて出来ない。
それにしても、事務所よりずっとひどいよ…
藤堂さん、見た目も素敵で優しくて良い人なのに、なんでこう片付けが出来ないんだろう??



「えっと…まずはキッチンから片付けていきますね。」



気合いと共に、髪の毛を一つに結んで、エプロンをかけた。
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