愛しのカレはV(ヴィジュアル)系




「わぁ、もう並んでるよ。」

今日の入場はチケットに付いてる番号順だから、開場までに行けば大丈夫。
また意地悪されたらいやだからと思って、開場時間の10分前に行ったら、ホールの前にはすでに長蛇の列が出来ていた。



「璃愛~!エミリー!」

「あ、ハルさん!」

「キラさんはまだなんですか?」

「うん、ギリギリになるって言ってた。」

「そうなんですか。
今日は私達が場所取りますからね!」

「うん、ありがとう!頼んだよ。」



実は、今回のチケットは瑠威に回してもらったもの。
1~2番をくれようとするから、11と12番にしてもらった。
いくらなんでも1番なんて困るよ…
でも、さゆみにそのことを言ったら、1番もらえば良かったのにって言われたけど…



キラさん達は今日は35、36番らしいから、私達が場所を取る。
いつも取ってもらってばっかりだから、今日はお返しが出来て良かったよ。



それにしても、みんな、気合いが入ってる。
みんな、最高のおしゃれをして来てる感じだよ。
2列で並んでるから、11番のあたりはかなり前だ。



「これだと、最前取れそうだね。」

さゆみが私の耳元で囁いた。



「そ、そうだね。」

最前はちょっと恥ずかしいな。
押されそうだから、ちょっと怖いし…
でも、一度は行ってみたい気もするけど…



時計の針はもう開場時間になったけど、まだ開かない。
リハか何かが押したのかな?



10分が過ぎ…20分が過ぎて…
待ってるファンもなんだかざわざわして来た頃…



「今から開場しま~す!」

スタッフさんが出て来て、大きな声を発した。
にわかに気分が盛り上がる。
< 198 / 366 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop