愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
「璃愛…荷物は頼んだよ。」

「え?あ、うん!」

怖い…さゆみの顔…気合いが入り過ぎてるよ…



「いたっ!」

ホールの扉が開いた途端、みんなが走り出して、私は後ろの人に突き飛ばされた。
また意地悪の続きなのかどうかはわからないけど、こんなことでくじけてられない。
二人分の荷物を持って、もたもたしながらも前に走った。



「璃愛!ここ!」

やっぱり、最前だ。しかも、ほぼど真ん中!
すごいよ、さゆみ…根性あるよ。



「エミリー!」

私がさゆみと合流してすぐにキラさんとハルさんがやって来た。



「やったね!最前じゃん!」

「はい、頑張りました!」

キラさんもハルさんもとっても嬉しそう!
そりゃあそうだよね。
待ちに待ったシュバルツのライブ、それを最前列で見られるんだから。
人がどんどん入って来て、ライブが始まる前から熱気がすごい。
どの顔もすごく晴れやかだ。
みんな、シュバルツのライブが楽しみで仕方ないんだ。
それは私も同じ…イベントのゲスト出演があったとはいえ、本格的な復活ライブは本当にひさしぶりだもん。



(瑠威は…シュバルツは本当にすごいよね。
こんなにたくさんの人を幸せに出来るんだから…)



「あっ!!」



しみじみとしていた所に、さゆみの声が響いた。
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