愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
「ただいま……」

そんなムードの中、玄関のチャイムが鳴って、ママが帰って来た。



「おかえり。」

「……どうかしたの?」

ママは、おかしな雰囲気にすぐに気付いたみたい。



「別にどうもしないよ…」

「でも……」

「……昨日のさゆみちゃんのこと、話してたんだ。」

「さゆみちゃんのこと?」

私はその話をしたくなくて、夕飯の準備を始めた。
ママも黙ってそれを手伝ってくれた。



「じゃあ、いただきましょうか。」

「いただきます。」

私も瑠威もまださっきのことを引きずっていて…
いつもみたいな他愛ない会話が出来ない。
みんな、黙りこくって食事をして…静かだから、食器の触れ合う音がやけに大きく感じる。



「……さゆみちゃんがリクのこと好きだって言ったこと?」

唐突なママの言葉に、瑠威は小さく頷いた。



「諦めるように言えって、瑠威が言ったのね?」

「……うん。」

私は素直に答えた。



「そっか…それで、望結は反感を感じたのね?」

すごいな…ママはなんでもお見通しだ。
私は、再び頷いた。
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