愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
初めての時に比べたら、私とさゆみも体力がついてきたのか、割と早く登れるようになってきた。
最初の時は時間はかかるし、さらにひどい靴擦れになってみんなに迷惑かけちゃったから、普段からエスカレーターは極力使わないとか、寝る前にちょっとだけストレッチをするようにしてて…
そういう地味な努力が実を結んで来たようだ。



「そういえば、さゆみちゃんとヅラちゃんは同じ大学やてゆうてたな。」

「はい、そうです。」

「二人は昔からの友達なん?」

「いえ、大学に入ってからです。
手芸部で知り合ったんです。」

わ…さゆみ、そんなこと言っちゃう?
手芸なんて地味な趣味、恥ずかしいんですけど…



「手芸?へぇ…なんや女の子らしい趣味やなぁ…」

意外なことに、キースさんは手芸を悪く言わなかった。
気を遣ってくれたのかな?



「地味な趣味でしょ…」

「そんなことないで。
器用でええやん。
……手芸ゆうたら、刺繍とか?」

「刺繍はさゆみが得意ですよ。」

「璃愛はぬいぐるみとかマスコットとか作るのうまいですよ。」

「……今、持ってないの?」

突然、リクさんがそんなことを言うから、食べてた唐揚げが喉に詰まりかけた。
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