愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
ふと見ると、隣のテーブルには女の子が群がっていて、好きなメンバーと順番に写真を撮ったり、握手をしていた。
特に多いのがリクさんのまわりだ。
いつの間にか、キラさんとハルさんもそこにいた。



(やっぱり、人気あるんだなぁ…)



そりゃあ確かに格好良いけど…
でも、なんか意地悪だし…



さっきの仕打ちが思い出される…



(なによ、カツラのこと…あんな風に言うことないでしょ!)



むしゃくしゃした私はカシスソーダをぐいっと飲み干した。
このお酒、すっきりしておいしいな。
お酒の弱い私でも、思ったほどは酔わないし。
私は、お代わりをもらいに行った。



「ねぇ、エミリー…
キラさんとハルさんって、もしかしてリクさんが好きなの?」

「そうなんだよね。
シュバルツでも、私達はライバルだったけど、今回もキラさんとハルさんとはリクさん狙いっていうのがかぶっちゃって…」

「きっと、好みのタイプが似てるんだね…」

「ま、私はもう瑠威のことは諦めたけど、かといって、今更、他のメンバーに乗り換えるってことは出来ないし…
それに、実際、諦めてはいるけど、今でも瑠威のファンなのは変わりないしね。」

「……ごめんね。」

「なに言ってるのよ、あんたが謝ることなんてないじゃない。
あんたが結婚したわけじゃないんだし…」



さゆみは声を潜めてそう言った。
そう、さゆみはママと瑠威が結婚したことを知ってるけど、誰にも言わずにその秘密を守ってくれてる。
さすが、我が親友だ。
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