愛しのカレはV(ヴィジュアル)系




「へぇ、そうなんだ。」

昨夜、さゆみは凌君と一緒に帰ったらしい。
一緒に出待ちをして、帰る方向が同じだったから一緒に帰ったら、なんと、凌君の家はさゆみの降りる駅の隣の駅だったのだとか。



「昨夜は、待たなくて正解だったかもしれないよ。
本当に、さっさとどこかに行っちゃったから、ほとんどしゃべれなかったからね。
それに機嫌もいまいちだったし…あの後、打ち上げだったのかな?
リクさん、何か言ってた?」

「ううん。
私……リクさんに嫌われちゃったかもしれないよ。」

「そんなことないでしょ。
昨夜だって、あんたのことであんなに怒ってくれたじゃない…」

「そうかな?
私が大きな声出したことで怒ったんじゃないかな?」

「そうじゃないよ。あんたの髪をひっぱった子に怒ったんだよ。
昨夜のリクさん、マジで怒ってたよね。
本当にあんたのこと、大切に想ってるんだなって…あんたのことがすごくうらやましく思えたよ。」

そうなのかな?
本当に、あれは私のために怒ってくれたのかな?
でも…あれ以来、LINEが来ない。
今朝もおはようって送ったのに、何も返って来なかった。
どうしてなんだろう?



衣装のことは、さゆみは最初から着てくれないだろうって思ってたらしくって、それほどショックじゃなかったって言ってたけど、私はやっぱり寂しかったな。
私…リクさんに期待し過ぎてるのかもしれない。
そうだね、きっと。
いちいち、動揺しないようにしないとね。
よく考えてみれば、私はまだ返事してないし、リクさんとは正式に付き合ってるわけじゃないんだ。
もっと、気楽に考えなきゃ…
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