愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
朝っぱらから会うなんて、一体何があるんだろう?

起きられないわけではないけど、やっぱり眠い。
それに、家事も出来ないし、ママ達にもまた嘘を吐く羽目になってしまった。
最近、バイトばかりで部活が出来ないから、早めに行って部活する…って…

私はこみあがって来る欠伸を噛み殺す。



「望結、お待たせ。」

「えっ…!?」

声を掛けて来たのは、見知らぬ男性。
髪が短くて、キャップをかぶり、真っ黒なサングラスにマスクをかけて…ありふれたTシャツを着てジーンズをはいている。



(この人…なんで私の名前を……!?)



「じゃあ、行こうか。」



男性に手を握られて、私は怖くなってその手を振り払い、逃げようとした。
だけど、すぐに肩を掴まれた。



「なんで逃げるんだ!」

「あ、あなた、一体…」

「はぁ?まさか俺のこと、気付いてないの?」

「気付いてない…って…」

男性は片手でサングラスをずらした。
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