愛しのカレはＶ(ヴィジュアル)系
「ご、ごめんなさい！わ、私…すっかり誤解して…」

「仕方ないさ。パパなんて呼ばれてたら誰だって親子だって思うよな。
それにしても、どこで見られてるかわからないもんだな。
ファンの子にいつ見られたんだろう？」

「その人のおばあちゃんが、あの公園の近くに住まれてるらしいです。
それで、おばあちゃんの家に行く途中で、偶然、見られたみたいですよ。」

「へぇ…そうなんだ。
でも、望結に見られてたのも全く気付かなかったよ。」

「ご、ごめんなさい…」

私は、深く頭を下げた。
あまりにも申し訳なくてリクさんの顔がまともに見られなかった。



「それはそうと、瑠威さんのことはどうなんだ？
なぜ、瑠威さんは望結に偉そうにするんだ？
それに…さっき、瑠威さんと付き合ってるって言ったよな？
それって、まさか…俺と瑠威さんの二股かけてたんじゃないよな？ 」

「ち、違います！瑠威は…」

どう言ったら良いの？
あぁ、あんなこと言わなきゃ良かった。
余計に話がこじれるよ。



「……俺は、望結の父親だ。」

どうしたら良いのかって迷っていたら、瑠威が低い声でそう言った。
暴露したってことは…瑠威、リクさんのことを信用してくれたの？



「え……父親？
……瑠威さん、ふざけないで下さい。
あなたと望結はいくつも変わらないでしょう。」

「リクさん…本当なの…
瑠威は、私のパパなの…」

「望結…おまえまでそんな馬鹿なことを…」

リクさんは、冷ややかな目で私を一瞥した。



「リク…本当のことなんだ。」

「そんなわけないでしょう？
リクさん、若く見えるけど本当は４０代とか、そんなわけないですよね？」

「そうじゃない。
俺は……俺はかおりと結婚してる。」

「かおりって……まさか、かお姉のことですか？」

「そうだ。そして、望結はかおりの娘だ。」

「えーーっ！」

リクさんは、丸い目をして、私と瑠威の顔を交互にみつめる。
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