愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
「え~…っと。」

瑠威はわざとらしい咳払いをひとつして…



「クロウはあんなこと言ったが、そう簡単に許すわけにはいかない。」

「そんな!俺は…」

「話はちゃんと聞け!まだ続きがある!
だから…その…おまえが望結のことをちゃんと護れるか、望結に相応しい男かどうか、しばらくそれを確かめさせてもらう。」

「えっ!それじゃあ…」

リクさんの顔がぱっと輝いた。
私も嬉しくて、思わず、飛び上がってしまいそうだったけど…



「ただし!」

瑠威が大きな声を上げた。



「望結に悲しい想いをさせたら、その時はすぐに別れてもらう。
それだけじゃないぞ。
足腰立たないくらい、ぶん殴るからな!」

「やった~!
望結、瑠威さんからのお許しが出た!
俺達、堂々と付き合えるぞ!」

リクさんは私の両手を握り締めた。



「こらっ!望結に気安く触るな!」

「良いじゃないですか!俺は、望結の彼氏なんですから!」

「まだ『仮』だ!」

そう言いながら、瑠威はリクさんの手を無理やり引き離す。



(全くもう…瑠威ったら、子供みたいなんだから…)



「皆様、食堂の方へどうぞ。」



どこからか家政婦さんがやって来て…
案内された食堂にはたくさんの料理が準備されていた。
しかも、お酒まで…




「瑠威さん、乾杯しましょう!」

「何に乾杯しようっていうんだ?」

「そりゃあもちろん、俺と望結の未来に!」

「けっ!」

瑠威はそのままぐびぐびとシャンパンを飲み干した。



「リク、近いうちに家に来いよ。
かおりにもちゃんと挨拶するんだ。」

「は、はいっ!喜んで。
あ、もし良かったら、うちにも来て下さい。
妹と空に紹介させて下さい。」

「わかった!かおりも連れて、三人で行くからな!」



なんだかいろいろあったけど…
どうやら、思ってたよりずっと良い方向に進んだようで…
私は、顔がにやけるのを止められなかった。

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