愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
「瑠威…そういうことなら、心配しないで。
私…特に誰のファンっていうのもないし、昨日だって、打ち上げがどんなものなのかって興味があっただけだから。」

「それなら良いけど…」

「そりゃあ、もしかしたらこの先、誰かのファンになるってことはあるかもしれないけど、恋愛感情なんてありえないから大丈夫だよ。」

それは事実。
バンドやってる人はある意味、芸能人みたいなものだもの。
私なんかの手が届くわけがない。そんなこと、端からわかってる。
ファンも多いし、そんな人に抱くのはせいぜい「憧れ」の感情くらいだよ。



「……そっか。
それなら良かった。
とにかくバンドマンだけはやめとけよ。
彼氏がほしいなら、会社の知り合い、紹介してやるから。」

「い、いいよ、そんなの…!
私、まだ、恋愛なんて興味ないから…」

「おいおい、望結もお年頃なのに、恋愛に興味ないは問題だろう。
いや…つまんない奴に引っかかって、悲しい想いをするよりはまだましか…
そうだ…やっぱり俺がおまえの相手をみつけてやるよ。
真面目で誠実で、望結のことを大切にする男を…」

「だから…必要ないって!
そんなことより、瑠威…私、クロウさん達にお詫びとお礼言わなきゃ…」

「大丈夫だって。
また近々会うから、その時、俺からちゃんと言っとくから。」

瑠威はもういつもの瑠威に戻ってた。
ついさっきまでの怖い瑠威はもういない。



(本当にもう…瑠威ったら、考え過ぎなんだから…)



でも、そんな風に心配されるのも、瑠威が私のことを親身になって考えてくれてるってことだもんね。



(ありがとう、瑠威…)


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