人間嫌いの小説家の嘘と本当

「誰か、居るの?」

「……気のせいか」



侑李は私の問いには応えることなく、眉を寄せ視線を1点に集中したまま呟くように声を漏らした。



「え?今なん――」

「捕まえた」



声と同時に首に回される腕。
近づく彼の顔には、してやったりの笑みが浮かんでいる。

しまった。もしかして、さっきのは私を引き寄せるための作戦?
また侑李に騙された?!この変態策士!



「は、放して」



首に回された腕を剥ぎ取ろうと、力いっぱい掴むけれどびくともしない。

普段、少し走っただけでも息切れするくらい体力が無い癖に何処にこんな力があるのか、不思議でならない。

……それとも、これが男と女の根本的な差なのだろうか。



「無理。離さない。言ったろ?お前は俺のもんだって」

「ッ――」

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