人間嫌いの小説家の嘘と本当
微睡の中の告白
窓から少し離れ、周りにこのドアを開けることが出来るものが無いかもう一度見渡したけれど、やはり無機質な事務用のデスクやイスがあるだけで、鍵などは見当たらない。
“開ける”ではなく“壊す”ならどうだ?
思考を切り替え、自分が手に持てそうなものを探す。
あるものに視線がとまり、足を向けた。
手に取ったものは、事務用の椅子だ。
背凭れの部分を両手で持って、助走をつけて勢いがついたところで、思い切りドアめがけて投げつける。
ガッシャーン!!
派手な音が部屋の中に響き、イスがドアの前に崩れ落ちる。
ダメだったか……そう、肩を落としそうになったけれどガラス部分に薄くヒビが入り、それがだんだん周りに広がり、今にも崩れ落ちそうな雰囲気を出している。
これなら、壊せるかもしれない。
私はドアの前に立ち、ゆっくり腰を下ろして空手の構えをし目を閉じた。
深呼吸を繰り返し、息を整え目を見開く。
「はあっ!!」