人間嫌いの小説家の嘘と本当

天井から吊り下げられた鉄製の滑車。
錆だらけの太いチェーンの先には、フックが付いている。

恐らく、ここが工場として稼働していた時、重いものを移動するときなどに使われていただろう。

使えるかもしれない。でも、あそこまで届くの?
もし届かなかったら、そのまま落ちて……。
最悪の場面を思い浮かべ身震いする。

あーもう。考えてる暇なんかないんだって。
一か八か。女は度胸、やるきゃない!!

頬を両手で叩き、気弱になる自分に喝を入れた。

さっきまでいた部屋に下がり、思い切り助走を付けて足を手すりに掛け、チェーン目掛けて力の限りジャンプ!!

しようとしたが、思いのほか手摺りが脆くなっていたのか、足に力を入れた瞬間、ガシャンと音がし下に沈む感覚が襲う。

嘘?落ちる……!!



「蒼井!!」


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