人間嫌いの小説家の嘘と本当

口から流れる血を拭いながら、満身創痍の体で私を見据える侑李。

小説家なのに、こんな争いごとなんて無縁の人なのに、そんなにボロボロになるまで戦って、馬鹿はどっちよ。



「私は……私の大切な人は、この命に代えても、私が守りたいの」



涙が溢れそうになるのを堪えながら侑李に訴える。
分かってなんて言わない。
厭きられてもいい、嫌いになってもいい。
だけど、私にだって譲れない思いがあるの。

貴方を守りたい。
それ程に私は、貴方のことを愛してしまった。

侑李からライフル銃を構えていた男へ視線を移す。
私の声とチェーンの揺れる音で気が付いたライフル男、改め頬に傷がある男が、驚いたようにコチラを見上げて構えていた銃を降ろしていた。

今がチャンス!

U字になったフックに足を掛け、昔公園で遊んだブランコの要領でチェーンが大きく弧を描くように揺らす。
そして一番弧を描いたところで手を放した。

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