人間嫌いの小説家の嘘と本当
私同様、侑李もお医者様に見てもらった筈。
怪我の具合はどうなのか、身体には支障がないのか心配だ。
「……幸い、外傷は大したことはありません」
少し間を置いてそう言うと、憂いを帯びた顔でため息を吐いた。
含みのある言い方に言いようのない不安が膨らむ。
いつもならこんな言い方しないのに、何かあるのかな?
「外傷はって、どういうことですか?」
櫻井さんは私をジッと見詰めた後、口を開いた。
「あなたが知る事を侑李様は快く思わないでしょう。それでも知りたいですか?」
まるで私を試しているようだ。でも、ここで引き下がる私じゃない。
これからも傍に居るって約束した。
だから侑李のことは何だって知っておきたいと思う。
「……今夜、熱が出るかもしれません」