人間嫌いの小説家の嘘と本当
心の底から、そう思える。
もしかしたら真幸に振られた事も、侑李に出会うために用意された、神様のシナリオだったのかもしれないとさえ思う。
「あの、櫻井さん。侑李に会いに行っても良いですか?」
会いたい。今すぐに侑李の顔を見たい。
侑李の体の事も心配だし、傍に居てあげたい。
「今日のところはダメです。あなたも重病人だということを肝に銘じて下さい」
そう言うと櫻井さんは、救急箱を手に部屋を出ていった。
シーンと静まり返る部屋。
夏だというのに、なんだか寒く感じる。
私はパジャマに着替え、温もりを求めるようにベッドに潜り込んだ。
侑李、大丈夫かな?
目が覚めたら、一番に侑李のところに行こう。
おはようって言って、それからトレーニングのこと文句言わなきゃ。
それから……それから……“好き”って、ちゃんと言おう。