人間嫌いの小説家の嘘と本当
薄く開いた唇から声が漏れ、ゆっくりと目が開く。
でも意識が朦朧としているのか、まだハッキリと目が覚めたわけでは無さそうだ。
「……み、ず……」
掠れた声で小さく囁く。
喉が渇いたのかな?
ベッドサイドに置いてある水差しを手にし、彼の後頭部に手を添えて、ゆっくりと彼の口元に充てがう。
すると形の良い唇が薄く開いて、水を受け入れた。
噎せないように少しずつ流し込んで、コクンと喉が鳴るのを確認する。
ひと口飲むと、安堵したように熱い息を吐き再び深い眠りにつく。
昨日から、この繰り返しだ。本当に良くなってるのかな。
安らかな寝息を立て眠る侑李の髪を撫でながら、早く良くなりますようにと、神様に祈った。