人間嫌いの小説家の嘘と本当
今の、どういう意味?
侑李が何を考えているのか、サッパリ分からない。
暫くして、キーを叩く音がしなくなったと思ったら、クリップ止めされたA4の印刷用紙を手に、目の前に立った。
「……なに?」
「読んで。可笑しなところがあったら、教えて欲しい」
用紙を受け取りながら、目を見開いて彼の顔を見上げた。
侑李の小説を読むことはあっても、添削のような事は一度だってしたことが無い。
本になる前の小説が読めるなんて夢みたいだ。
「私に出来るかな?」
「別に大して期待してない。ただ感想を教えてくれるだけでいい」
はいはい、そうですか。
ま、そうですよねぇ。文系が苦手な私に期待するほど馬鹿じゃないですよね。
勝手にいじけていると、侑李はパソコンに向かうと思いきや、長い脚を組んでイスに座ったまま、私の方を見て何か思案している。
何よ。まだ言い足りないことでもあるの?
「タヌキから……俺のこと何か聞いたのか」