人間嫌いの小説家の嘘と本当

自分の浅はかさに嫌気がさす。
けれど今はただ、声も出せず熱く痺れる喉元を引っ搔くように爪を立て、マスターに目線で訴えるしかなかった。



「侑李。自分が飲んでたの、何か分かってるの?」



彼に問いただしながら私の声が届いたように、タオルをカウンターの脇に置いて、冷蔵庫からジョッキを取り出す。



「ギムレットだろ」

「あぁ、それもお前専用のジン濃いめのな。なんで彼女に飲ませたんだ」



心配そうに私を見るマスター。
それに対し、侑李は興味無さげにお代わりを頼んでいる。

ギムレットって、かなり度数高いよね。
カシスオレンジくらいしか飲まない私でも、聞いたことがあるカクテルの名前だ。

だけど今はそんなことは、どうでもいい。
兎に角、この熱さを何とかしたい。



「大丈夫?コレ、飲んで」

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