人間嫌いの小説家の嘘と本当
裏切りは突然に
「蒼井様。お荷物が届いておりましたので、後ほどお部屋に運んでおきますね」
「あ、はーい」
一ヶ月が過ぎた頃、私宛にミカン箱くらいの郵便物が届いた。
送り主は、真幸だ。今頃、いったい何だろう。
不思議に思いながら、封を開け中身を見る。
私の洋服にカバンなど数点と、小さな小箱がひとつ。
捨てずに置いてあったんだ。
侑李が買ってくれた洋服は沢山あるけれど、気に入っていたものもあった為、正直ありがたい。
この小箱は何が入ってるんだろ。
見覚えのない小箱に手を伸ばし開けてみる。
すると一通の手紙と共に、もう戻らないと思っていた、両親との唯一の写真が綺麗な写真立てに収められ入っていた。
お父さん、お母さん。
笑顔で笑っている二人の姿に、指を這わせ懐かしさに目頭が熱くなる。