人間嫌いの小説家の嘘と本当

「侑李、どこ行くの?」

「散歩」



散歩って、まだ陽が高いうちに行くのなんて珍しい。
それに九月に入ったからといっても、まだまだ暑い日が続いている。

こんな日に、外に出歩いて大丈夫なのかな?
侑李だって完全に怪我が治った訳じゃないのに――。



「今から行くの?待って、私も行くよ」



侑李の体の事が心配になり声を掛ける。
ボディーガードは、もう要らないかもしれないけれど一緒に行きたい。



「馬鹿かお前は。怪我が治ってから言え」



冷たい視線が私を刺す。
確かに、まだ足首は痛むけど歩けない程じゃない。
手の包帯も軽くなったし、来週には頭の傷も抜糸出来るって蓮見先生も言っていた。

出掛けても問題ないと思うんだけどな。



「私が一緒じゃ嫌なの?」


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