人間嫌いの小説家の嘘と本当

つい思っていたことが口に出てしまう。
そんな私に、侑李は面倒くさそうに振り返り溜息を吐く。



「シュークリーム買ってきてやるから、大人しく待ってろ」



シュークリームというフレーズに、キラリと目が輝く。
我ながら現金だとは思うが、侑李同様甘いものは大好物。

けれど櫻井さんが、大して動いていないのですから濃い味付けは太りますよと、禁断のフレーズを言うばかりか、味の薄いものばかり用意してるれるから丁度甘いものが欲しかったところだ。



「期間限定のマロン&生クリームが入ってる奴が良い」

「分かったよ……ったく、現金な奴め」



呆れたように溜息を吐きながら、私の頭をワシャワシャと掻き撫でる。
その顔は、さっきまでの冷たい視線を送ってきた人と、同一人物とは思えないくらい優しい。



「侑李」

「今度はなんだ?」



まだあるのかと、眉をひそめて私を見下ろす。


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