人間嫌いの小説家の嘘と本当
そんな彼の態度を不思議に思いながらも、小説に行き詰まってるだけなのかもしれないと、あまり深く考えないようにしていた。
けれどその日を境に、侑李が私のベッドに潜り込んでくることは無くなり、少し距離を置かれている状況が続いる。
「いくらなんでも、おかしい……」
私は一階のリビングで、櫻井さんの淹れてくれた紅茶を飲んでいた。
二階では侑李が、いつもと変わらずパソコンと向き合っているが、パソコンのキーを叩く音よりも、考え込む時間が長くなり難航しているようだ。
そのため、彼の周りに不穏な空気が流れ近寄りがたく、仕事部屋自体が居心地が悪い。
だから時々こうしてリビングに降りて、お茶を飲んだりしている。
「何がおかしいんです?」
優雅な手つきで紅茶を継ぎ足し、私の話を聞いてくれる。
どうやら櫻井さんにとっては慣れた環境のようだ。
少し櫻井さんに相談してみよう。