人間嫌いの小説家の嘘と本当
「侑李ですよ。最近、私に冷たくないですか?」
「……何か、粗相でもしたんじゃありませんか?」
スッと目が細められ疑いに満ちた視線が投げかけられる。
相変わらずの侑李贔屓。
けれど私には思い当たるものもなく検討もつかない。
「強いて言えば、私の両親の写真を見せたくらいです」
そう、あの日からだ。
写真を見た瞬間、一瞬だけど表情が強張ったようにも見えた。
あれは気のせいじゃ無かったのかもしれない。
「……あなたのご両親の写真ですか?」
怪訝に眉を顰め考え込む。
そして思い当たることがあったのか、ハッと目を見開き真剣かつ冷静な面持ちで私を見据えた。
「その写真を見せて頂く事は出来ますか?」