人間嫌いの小説家の嘘と本当

両親の写真に何があるのかは分からない。
だけど、侑李が私を避ける理由が分かるのならと

急いで部屋に行き写真立てを手に戻ってきて櫻井さんに見せる。
すると、あの時の侑李同様一瞬眉を顰め顔を曇らせた。



「……この方達は……そう、でしたか。貴女が――」



櫻井さんは、意味深にそう言うと私に写真を戻し微笑む。

私には何が“そう”なのかサッパリ分からないけれど、櫻井さんの中では合点が一致したようだ。
私の両親と侑李、過去に会ったことがあるんだろうか。



「この写真に……私の両親と何か関係があるんですか?」



侑李も櫻井さんも、なんでこの写真を見て驚くの?

理由を知りたくて聞いてみたものの、この関係が大きく変わってしまわないか不安が押し寄せ少し怖い。



「ご心配いりませんよ。この写真は、あなたと侑李様を隔てる原因ではありません」



ホッとした反面、侑李が私を避ける理由が分からない。
気が付いていないだけで、何か怒らせる事をしてしまったんだろうか。

< 249 / 323 >

この作品をシェア

pagetop