人間嫌いの小説家の嘘と本当
両親の写真に何があるのかは分からない。
だけど、侑李が私を避ける理由が分かるのならと
急いで部屋に行き写真立てを手に戻ってきて櫻井さんに見せる。
すると、あの時の侑李同様一瞬眉を顰め顔を曇らせた。
「……この方達は……そう、でしたか。貴女が――」
櫻井さんは、意味深にそう言うと私に写真を戻し微笑む。
私には何が“そう”なのかサッパリ分からないけれど、櫻井さんの中では合点が一致したようだ。
私の両親と侑李、過去に会ったことがあるんだろうか。
「この写真に……私の両親と何か関係があるんですか?」
侑李も櫻井さんも、なんでこの写真を見て驚くの?
理由を知りたくて聞いてみたものの、この関係が大きく変わってしまわないか不安が押し寄せ少し怖い。
「ご心配いりませんよ。この写真は、あなたと侑李様を隔てる原因ではありません」
ホッとした反面、侑李が私を避ける理由が分からない。
気が付いていないだけで、何か怒らせる事をしてしまったんだろうか。