人間嫌いの小説家の嘘と本当

もしかして寝ている間にやってしまったとか?
寝言とか、寝相、歯ぎしり……無い頭でいくら考えても、何一つ思い浮かばない。
だいたい寝ている時まで、自分の行動に責任もてる訳がない。

写真が原因じゃないとすれば、何なんだろう。



「その様に悩まれるのでしたら、侑李様に聞いてみれば良いのでは?」



そうしたいのは山々だけど、最近の侑李は殺気立ってるっていうか、小説も難航しているみたいだし、近寄りがたいんだよね。



「それが出来れば、ココで櫻井さんに相談してないですよ」



大きく息を吐き、机に突っ伏して見せる。
すると櫻井さんは呆れたように「全く、貴女らしくもない」と大きく溜息をつき言葉を続けた。



「貴女は頭で考えるより体が動くタイプでしょう?こんなところでグダグダ考えていても答えは見つかりませんよ」



それもそうなんだけど、どう動いたらいいのか分からないんだよね。

相手は侑李だし、口じゃ勝てっこない。
かといって、素直に聞いても教えてくれるかどうか……。

独り悩んでいると、やれやれと言わんばかりの溜息が聞えたと同時に、私の悩みの為である侑李がダイニングに顔を出した。

< 250 / 323 >

この作品をシェア

pagetop