人間嫌いの小説家の嘘と本当
手を挙げ彼の名前を呼んだけれど、彼の隣をとても親密そうに歩く女性が目に入り、それ以上声をあげることが出来なかった。
とても仲が良さそうで、普段他人を寄せ付けない侑李が、彼の腕に女性が腕を回しても払い除けずにいる。
それ程に仲がいい異性がいるなんて聞いたことが無い。
ドクンと嫌な音を立て心臓が軋む。
挙げた手をゆっくりと降ろして、二人の姿を視線で追う。
どことなくハーフを思わせる女性はとても綺麗で、侑李と歩くと撮影か何かと間違えるほどに二人とも様になっている。
その証拠に、道をすれ違う人達が侑李たちを見て、振り返ったり噂話をしている視線は、とても好意的に見えた。
美男美女って、こう言う人達のことを言うんだろうな。
って感心している場合じゃ無い。
早く二人を追いかけなきゃ……でも、追いかけていいのかな。
これ、デートだったら邪魔しちゃうんじゃないの?
あまりの二人のお似合いっぷりに足が竦み、このまま二人を追いかけていいのか迷ってしまう。