人間嫌いの小説家の嘘と本当
違うよね。侑李はそんなことしないよね。
私の事を“愛してる”と言ってくれた侑李を信じたいと言う気持ちと、二股をして“別れてくれ”と言ってきた真幸の姿が、今の侑李と重なり私の心を大きく揺さぶる。
もう少しで二人の姿が見えなくなってしまう頃、信号が青に変わった。
まだ侑李が二股してるとは限らない。
櫻井さんが言ってたじゃない。私が信じなきゃ誰が信じるのよ。
自分を奮い立たせ、一歩足を踏み出し横断歩道を渡る。
そして二人の姿が消えて行った道の先へと走り出す。
しばらく走ると彼らの後ろ姿が見え、追いつくことが出来た。
そのまま見つからないように尾行開始。
けれど二人の様子を近くで見れば見るほどに、恋人同士のそれにしか見えない。
仲良く話しながら、女性が少しリードするように先へ進む。
駐車場へそのまま行くのかと思いきや、二人は途中の角を曲がり、あるお店へと入っていった。
「嘘でしょ……」