人間嫌いの小説家の嘘と本当
縮まる距離に逃げ場を失い、近くにあった枕を彼に押し当てる。
「ぶっ。何するんだよ」
「いや、だって……見られたくない」
もし仮に、彼とヤったとしても明るいところで肌を見られるのは恥ずかしい。
布団やシーツをたくし寄せ、慌てて彼に背を向ける。
「今更だろ、そんなの」
彼の言葉を背に受け、チラリと後ろの様子を伺えば、肩肘を付いて不機嫌そうに片眉を上げているのが見えた。
「い、今更って……やっぱり、私達シたの?」
聞きたくないけど、確認はしたい女心。
だって自分の記憶の中に無いとか、あり得ないでしょ。
「お前から、脱ぎ始めたんだからな」
彼の言葉にサーっと血の気が引いていく。
自分から誘ったってこと?嘘でしょ~、人生最大の恥だ。