人間嫌いの小説家の嘘と本当
「こっち向けば?」
「嫌っ」
私が全裸ということは、彼も何も着ていない可能性があるだけに、振り向く事なんてできない。
「あっそ。でも……お前は、今日からココに住むんだ。俺と一緒にな」
はぁ?!何言ってるの、この人。
名前も素性も分からない異性と、なんで一緒に住まなきゃいけないの?
「言ってる、意味が――」
後ろでシーツの擦れる音がし、不意にマットレスが沈み込む。
その拍子に私の体が傾き、彼の手が肩に乗り支える形になった。
「分からないとは言わせない。昨日、約束したんだからな」
そう言うが早いか、首元にチクッと痛みが走る。
今の、まさか――。
「あなた、今の!!」