人間嫌いの小説家の嘘と本当

怒りに任せ、痛みのした首元を抑えながら彼の方を振り向く。
すると、口元に薄く笑みを浮かべた男と視線が絡む。
綺麗な淡青色の瞳。引き込まれそうなくらい透明で美しい。



「契約印な。今日からお前は俺のだ」



そう言うと、彼はベッドから起き上がり抜けだす。

上半身は裸だけれど、下はスエット姿。
朝の光が入る窓に向かって、大きく背伸びをし「じゃ、後でな」と言うと、足元方向にあるドアに向かって欠伸をしながら歩き出した。



「俺のものって……ちょっと、昨日いったい何が――痛っ」



慌てて起き上がろうとした瞬間、頭に激痛が走り額に手を当てる。
痛ったぁ。何これ……。



「喚くな。二日酔いの体にはキツイだろ」

「二日酔い?」



ドアノブに手を掛けていたのを外して、また私の元に戻ってくる彼。
白い髪が光に当たって、白銀に輝いて見える。

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