人間嫌いの小説家の嘘と本当

「それ違うよ」



彼の言葉に直ぐに意義を唱えた。
私は侑李に幸せにして欲しいなんて思っていない。

“幸せ”と感じるのは個人それぞれで感じ方が違う。
だからこそ、“幸せ”は“愛”と共に二人で育んでいくものだ。



「幸せは、二人でするもの。だから、私達二人で幸せになっていくの。結婚ってそういうものでしょ」

「そうか?」

「そうよ」



胸を張ってそう言うと、侑李は「お前らしいな」とクスリと笑って額にキスを落とし、参列者に向き直った。
私も彼に習い、向きを変え二人で深くお辞儀をする。


どっちかの想いが強すぎても、弱すぎてもダメ。
お互いを想い合っても話し合わなけれは、真実は見えない。

話し合ってお互いの意見をぶつけ合って丁度いい折り合いを見つける。
そして助け合って生きていく。

それが結婚であり、人を愛すると言うことだと私は思う。

結婚式を終えチャペルの外へ。
夜桜が花びらを舞い散らす中、参列者の周りにはいくつものキャンドルが灯り、幻想さを増しているように思えた。

< 309 / 323 >

この作品をシェア

pagetop