人間嫌いの小説家の嘘と本当
【番外編】この命の灯が絶える、その時まで
パソコンの前で、眼鏡を外すと眉間を揉み解す。
体質の所為か、最近視力が弱くなっている気がする。
背伸びをし天井を見上げた。
「終わったー」
誰に言う訳でなく、ただ自分を褒めたたえたい気分だった。
視線を戻すとカーテン越しに、うっすらと明かりが漏れ明け方近いことを知らせてくれる。
卓上のカレンダーに目をやると、涼花が付けた赤い花丸の印が見える。
明日……否、もう日付が変わっているから今日か。
今日は俺たちの結婚式。
夕方からだから、少し仮眠が取れるだろう。
こういう事を見越して、アイツはNightWeddingをやりたいと言ってたんだろうか。
本当に出来た“嫁さん”だな。
「寝よう」
重い腰を持ち上げ、俺はベッドではなくソファに横になり目を閉じる。
すると間もなく闇が俺を引き込んでいった。