人間嫌いの小説家の嘘と本当
『おかーさーん。おとーさーん。どこー』
わんわん泣き叫びながら聞こえる声に、煩いなと思いつつ目を開けた。
すると深い森の中、月から降るそそぐ光が木漏れ日の様にところどころを照らしている。
声を頼りに木々を縫って森を歩いて行くと、涙を拭いながらも、ふらふらと歩く小さな女の子を見つけた。
「どうしたんだ、お前。迷子か?」
彼女に声を掛け反応を見る。
するとビクッと体を強張らせて俺を探す様に、辺りをキョロキョロと見渡す。
「大丈夫?」
何も言わずただ泣いている女の子に、どうしたものかと考えを巡らせる。
三歳くらいかな。こんな小さな子が一人で来るとは思えないし、かと言って両親らしき人はココに来るまでに見当たらなかった。
「困ったな。キャンプ場から来たのかな」