人間嫌いの小説家の嘘と本当
「お前、俺の事が怖くないのか?」
俺を見て笑う奴なんて始めて見た。
だいたいの奴が泣くか、逃げるかしてしまう。
大人であっても、顔を強張らせる程だ。
「なんで?」
円らな瞳で俺を見据え、首を傾げる仕草に可愛いとさえ思う。
そんな時、風が森の中を吹き抜け、俺の長い前髪を掻き上げ月明かりが照らし出した。
「わぁ」
少女が零れ落ちそうなくらい大きく目を見開き、俺に近づいてくる。
「お兄ちゃんのおめめ、きれい」
目?……っ、見られた。
ただでさえ髪も肌も真っ白で普通じゃない。
その上色素の薄い目は、光に当たると異様に見えるらしい。
急に恥ずかしさと恐怖心が襲い、慌てて前髪で目を隠す。