人間嫌いの小説家の嘘と本当
私、これからどうなっちゃうの?
考えるのを止め、ぼすんとふわふわのベッドに大の字になって倒れ込んだ。
それにしても、このベッド気持ちがいい。
このまま二度寝しちゃおうかな。
コン、コン――。
彼が消えていったドアから、控えめにノックされる音が響く。
なにか忘れものだろうか。
上半身だけ起き上がり返事をする。
「はい?」
『入っても宜しゅうございますか?』
彼とは確実に違う、少し年配の男性の声。
この部屋に入ってくる?
私の服は見当たらないし、どうしよう。
慌てて布団に潜り込み、あられもない姿を見られないようにした。
「は、はい。どうぞ」
返事をすると「失礼します」と声が聞こえてドアが開く。
スーツをビシッと着こなした身奇麗な初老の男性が、私の姿など気にも留めずに、ピンクやオレンジなどの明るい色の花が活けられた花瓶をもって、ベッド脇のサイドテーブルに置いた。